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ウール※とは、本来は羊毛の事を意味します。
繊維系の断熱材では、いわゆる人工のグラスウール(ガラス繊維)、ロックウール(鉱物繊維)等ウールの名称がついた断熱材がありますが、本協会で推奨する断熱材は、天然の羊毛(ウール)を使用した断熱材です。
ウール(羊毛)断熱材は、ヨーロッパやオーストラリアなど世界的には古くからごく当たり前に断熱材として使用されています。
※ウール
緬毛。毛糸や毛織物の原料となる繊維。繊維の中心部に髄質を欠き、化学的にはケラチンといわれる蛋白質から成っている。主としてめん羊から採取され、動物性繊維の中心である。外観的な性質から細毛、中毛、長毛、雑種毛などに分れる。ブリタニカ国際大百科事典の記述の一部を記載しています。
羊毛断熱材について
断熱性能
平成25年改正省エネルギー基準、低炭素認定住宅、長期優良住宅に対応。
ウールが断熱材として機能する特徴は、その一本一本の繊維がクリンプ(縮れ毛)状に絡まり合っているところです。
その絡まり合った間に、たくさんの空気を保持しています。
断熱とは空気の移動を留めることにあるので、ウール繊維は人工的な加工をすることがなく自然な状態でこの機能を有しています。
この留まった空気の層が夏の暑さと冬の寒さを防ぎ続けてくれるのです。
調湿性能
国内に普及する断熱材の中でも特に調湿性(湿気の吸放湿性能)に優れています。
高温多湿で梅雨と降雪期を有する日本の気候条件の中、主流の木造住宅においては、構造劣化要因とされる壁内結露を防止し構造材を守る断熱材として効果を発揮します。
ウールの吸湿力は綿の2倍、ポリエステルの40倍です。
ウールの寝具やスーツはムレたりせずいつも爽やか、夏でもスーツを着ていられるのはウールの調湿性があるからです。
有害物質吸着性能
ウールは有害物質を出さない安全な天然素材です。
さらには、タバコやペット、加齢臭や汗臭、料理臭、ゴミ臭など家庭内のニオイを除去します。
また、シックハウスの原因となるVOC(ホルムアルデヒドなど)を吸着し、無害なものにします。しかも、一度吸着したら化学的に結びついて外部に再放出しないので、シックハウス対策に有効です。
まさに、ウールは「天然の空気清浄機」です。
安全性能
原料の羊毛は100%天然の安全な素材です。
羊毛は自然の営みの中で毎年繰り返し育ち、羊が飼われている限り枯渇することがありません。
また、羊毛は「ウール」として衣料品などにもよく使われており、肌に直接触れても安心な素材ですので、小さなお子様のいる家庭にも安心してお使いいただけます。
断熱材の素材として一緒に使われているポリエステルも、同様に衣料品などによく使われている安全な素材です。
撥水性能
ウール繊維は撥水性と親水性を併せ持つ希少な天然素材です。
繊維の表面スケール(ウロコ状)は、薄い膜(エピキューティクル)で覆われています。
これが水を弾き、汚れを付きにくくしています。
ウールのコートなら小雨では表面に水滴ができ雨を弾きます、コート内側に滲みることは有りません。
一方、スケールには多孔性があり、水などの大きな分子は通ることができませんが、水蒸気などの小さな分子は孔を通り、繊維内部に吸湿されます。
たくさんの水分を吸収しても、表面が撥水性のためサラリとしているのはこの特性によるものです。
難燃性能
ウールの自己消化能力。
ウール繊維の中に窒素や水分を多く含んでいるため、火をつけても自然に消火し燃え広がりません。
また熱で溶けず、火傷をする危険性が少ないことからウール素材は、消防服、レーシングスーツに採用されています。
そして、有毒ガスの発生もほとんどないことから飛行機、客船、新幹線、ホテルなどの人命に関わる場所のカーペット、カーテン、毛布などの内装材として使用されています。
吸音性能
ウールは「吸音」による防音性に優れています。
一般的な木造住宅での壁を通過する生活音(話し声、足音、音楽、車などの騒音)を効果的に低減する 高い機能を持っています。
また、「振動抑制」もあり2階、3階上の床衝撃を抑えます。
これらは逆に、室内から外部への音漏れも防ぐ働きとなります。
環境性能
太陽の恵を受けた牧草を羊が食べて育ち、羊毛は職人の手を使って刈り取られ、排出される糞は植物の養分となり牧草を育てます。
羊毛自体(タンパク質)も土に戻せば、生分解により土に還ります。
ウール断熱材は、他商品に比べて極めて製造エネルギーの小さく、リユースが可能な循環型自然製品です。
これらのことは、製造から廃棄にわたって省エネルギー型の温室効果ガス削減に貢献しています。
施工性能
ウール断熱材は、とても扱い易く施工者にも安全な材料です。
施工時の煩わしいチクチク感もなく、素手での作業も心配ありません。
ウール繊維のクリンプにより弾力性は、伸び縮みの追従性に優れており施工後のズレ落ちやスキが発生することもありません。
手でのカットも容易で、曲げることや包むことも可能なので配管、配線廻りの処理も自在です。
また、窓まわりや金物接合部などの小さなスキ間への充填も簡単に施工することができます。
すべてが使用できるウール断熱材はムダな切り端が発生することがありません。